映画
映画名:2001年宇宙の旅
ジャンル:SF,ホラー
備 考:吹替版をPrime Videoで視聴
一言感想
HAL 9000で分かるAIの怖さ ただかなり難解
感想
1968年にスタンリー・キューブリック監督によって作られた映画。
宇宙の旅だから宇宙から始まるのかと思いきや最初は猿のシーンである。
猿がモノリスの影響で知能を得るということを示唆している。
そして20分後、ついにHAL 9000が来るかと思いきや次は宇宙旅行が身近になったことを証明するのと目的を議論するシーンである。
皆が知っているHAL 9000が出てくるのは開始から約1時間後である。
ただHAL 9000の事件が解決した後に出てくるのはサイケデリックな映像である。
正直、かなり難解な映画だと感じてしまった。思い出してもHAL 9000による事件がクライマックスだったように感じる。後は平和な冒頭シーンの食事程度である。
スタンリー・キューブリック
スタンリー・キューブリックは一言で言えば海外の黒澤明である。
2001年宇宙の旅も十分有名だが、博士の異常な愛情、時計じかけのオレンジ、シャイニング、フルメタル・ジャケットなど有名映画は数多くある。
かなりの完璧主義であり、18世紀が舞台のバリー・リンドンという映画では光源がロウソクだけというユニークなことをしている。
因みに2001年宇宙の旅はキャリアの中でも中期に位置する。
意外かと思われるがシャイニングやフルメタル・ジャケットはキャリア後半である。
キューブリック作品を見て分かると思うが広角で撮られている。
これは彼の作品の特徴である。広角で撮ることによって遠近感を生んでいる。
それにより部屋や宇宙船が無機質に見える。本来なら狭いはずの部屋が大きく見えるためだ。
シャイニングでも時計じかけのオレンジでも多用している手法である。
難解
批判もあると思うが正直に言うとキューブリック監督の映画はどれも難解である。
それは平沢進さんの曲を解釈するレベルに。
正直、皆キューブリック映画で想像するシーンは断片だけだろう。
シャイニングなら双子かジャック・ニコルソンが斧でドアを壊す、時計じかけのオレンジならルドヴィコ療法、フルメタル・ジャケットならハートマン軍曹の罵倒など。
そして今作ならHAL 9000である。
これは一番インパクトのあるシーンしか覚えていないからだ。ただそれは彼が想定しているわけではないのも同時に分かる。
キューブリック監督は全てが重要なシーンだと思いながら作っている。それがサイケデリックなシーンであろうと。
正直、重要だと思っているのは何が記憶に残っているか?より何を感じたか?である。
AIの恐怖、宇宙への憧れ、モノリスの存在など色々、感じ取れる物がある。
本作を通して何を感じたか?それが一番重要である。
HAL 9000
今作に出てくる最強にして最凶のAIである。
今の生成AI(ChatGPT)などに匹敵するレベルのお喋りでスマート家電どころか自動的に船内をコントロールする万能AIである。
ただ終盤からは歯向かってくる。しかし目論見虚しく解体されてしまう。
最後に歌っているのはDaisy Bellである。これは今やホラー動画のBGMという印象のせいでホラーなBGMになっているが技術面では凄い曲である。
世界初の合成音声で歌った曲だからだ。これがないとVOCALOIDはおろか、Kraftwerkとかも存在しなかった可能性もある。
本作公開の7年前にIBM 7094にプログラムして歌わせた画期的な曲ではある。
ただHAL 9000は合成音声ではなく声優の音声である。この当時に合成音声を使うと莫大な費用と時間が掛かるのは当然であろう。
モノリス
今作の謎を演出している黒い直方体の物体である。
モノリスに対して何の説明もなく本作ではずっと謎に包まれている。
しかし何なのかは見て分かる。ヒントは猿の動き方や連絡方法である。
そう、これは進化を促したり連絡するものなのである。
それを映像だけで演出できるのはキューブリック監督の凄さである。
インターミッション
この映画は物凄く長い。今の水準だと142分は短い部類に入りそうだが。
そのため休憩のインターミッションが入っている。これはアマプラでも同様である。
しかし、最初見たときはインターミッションという章が始まるのかと勘違いした。
調べてみると単純に休憩だった。つまりそこでご飯食べるなりトイレに行くなりすれば良いという事である。
インターミッションが入っている映画は有名どころだと七人の侍も入っている。
映画は昔のほうが親切である。今の映画にもインターミッションを導入してほしい。
3時間以上の映画なら尚更である。
総評
物凄い難解映画であった。ただし心には残る。
キューブリック作品は何を感じたか?が重要なのでこの感想は一つの指標として見てほしい。
多分、十人十色になるだろう。
ただし初心者向けの映画では全く無い。映画に慣れた人に見てほしい1作ではあるが。