映画
映画名:鉄道員
ジャンル:人情、歴史
備 考:Prime Videoで視聴
一言感想
悲劇の鉄道員の話 ただそこには周囲の人情の話
感想
1999年に公開された映画。
北海道のある廃駅が決まった駅で働く駅長が回顧しながら人生を振り返る話である。
途中に回顧が挟まれるが色々と苦労している。
娘や妻が亡くなったり近隣で炭鉱の事故が起きたりと悲劇が起きる。
孤独の駅長に見えるが実際は違う。本当にそうだったら駅員を辞めている。
悲劇の連続でも彼がへこたれないのは周囲の人達がいるからだ。
同じ会社の同僚もいれば妻、そして部下もいるし近隣の住民もいる。
人情あふれる人達によって支えられている。
そう実感する映画である。
駅
駅を見て初っ端から驚いた。
なんとタブレット閉塞なのである。
古い方法であり現在では全く使われていない。
タブレット閉塞
閉塞というのは一つの列車しか入れない区間のことである。
一つの線路に複数の列車が来たら事故が起きる可能性が高いのは想像しても分かるだろう。
それを防ぐための方法が閉塞である。
今では大都市、田舎を含め自動的にやってくれる閉塞が多いが、この路線では手動でやらないといけない。
何を使うかというとタブレット閉塞機である。これは近隣の駅と通信できる機械であり、ここから通信してタブレットが発行される。それが閉塞に列車がいる証拠になる。
そしてタブレットを運転士に持たせる。そして列車交換が出来る駅に到着したらタブレットを駅に渡して連絡する。そうして閉塞に列車がないことを確認して解除する。
見て分かると思うが時間がかかる作業である。東海道本線や京浜東北線、山手線でやったら大遅延確定の交換である。
なので今は由利高原鉄道鳥海山ろく線とくま川鉄道湯前線でしか使われない方法である。
東北か九州に行かないと見れないので難易度は高い。
車両
車両は非電化区間なので勿論、気動車である。?って思う人はタブレット閉塞と同じように後で説明する。
そしてもう一つ花形とも言える車両が出てくる。蒸気機関車である。
もはや観光車両の一種となって久しい車両だが、これが日常的に使われていた時代を思い出させるような回顧もある。
そこでも泣ける。
気動車
日常で見る列車には大まかに2種類ある。電車と気動車である。
電車はご存知の通り電気で走る列車である。山手線も京浜東北線も東急東横線も電車である。
そして気動車は軽油で走る列車である。関東なら久留里線や八高線(高麗川以北)、いすみ鉄道いすみ線などで走っている。
見分け方は電気式気動車とか特殊なものでない限りはパンタグラフの有無で分かる。
パンタグラフというのは山手線を見たら分かると思うが電気スタンドみたいな物が上に乗っているだろう。さらに菱形のものもある。
電車はこれで給電して走らせている。
対して気動車はエンジンを使って走らせている。自走出来るのでパンタグラフは必要ない。
ここで停電になっても平気なの?って言う人が出てくると思うが、それは違う。
いくら非電化区間だろうが信号や踏切などで電気を使うので容易く走らせることは出来ない。
もし走らせたら事故が起きるのは想像しなくても分かるだろう。
そして一つ。たまに気動車を電車と言って怒る鉄オタがいると思うが正直こう言っている物である。
- PlayStation 5を見てSwitchと言っている
- トゲナシトゲアリを見てpoppin’partyと言っている
それくらい違和感があるものなので見過ごせなくなっている。なので許してほしい。
ロケ地
ロケ地は幾寅駅である。昨年、根室本線の一部廃線により廃駅になってしまったが実際は2016年から休止状態であった。
ここで思ったのは国鉄からJR北海道になっても財政が厳しいという事である。
現に路線の廃線は氷山の一角であり、10年後には札幌近郊以外は路線が無くなるとも言われている。
悲しいことだが第三セクターでも収益が見込めない&人がいないなら無くなっても仕方がない。
バスや自家用車でも大丈夫なら無理に大量輸送できるものを走らせなくても良いという事である。
さらに維持費とかもある。残念だがロマン<採算である。
俳優
主人公を演じるのは高倉健さんである。個人的に高倉さんは雪が似合う俳優の一人である。
雪と言っても普通の雪ではなく豪雪の方であるが。南極物語、八甲田山、そして鉄道員である。
それくらい厳しい雪が似合う。
そして期間工を演じた志村けんさんもいる。今までドリフとかでおちゃらけているイメージが多いがシリアスな作品をやらせても一流であることが判明した瞬間である。
さらに同じシーンの鉱夫の一人に田中要次さんがいる。彼は元国鉄職員である。
つまり元鉄道員が鉄道員に出ていたのである。ただHEROなどの放送前の話であるのでまだチョイ役という扱いである。
そして広末涼子さんもいる。今はやらかしたイメージが強いがシンプルに可愛い。
そりゃ人気女優になるわなってくらいには。
総評
とにかく不幸な主人公とそれを支える周囲の人達による人情の話であった。
結構、キツイ事が何回も起きるが周囲の人達が頑張って支えている。
不幸であるが周囲に恵まれているが唯一の幸福である。
そして古い鉄道も僕は鉄オタなので興奮する。
なので小説も機会があったら見たい。