アルバム
タイトル:Perspective
アーティスト:P-MODEL
曲数:9
一言感想
実はPotpourriよりも暗い。さらに前作より意味不明
感想
P-MODELの4作目のアルバム。このアルバムからベースの菊池達也が正式メンバーになる。
実はPotpourriより暗い。Potpourriは「ただ暗い」だけだが、こっちは「暗いし歌詞も分からない上、何故か不安になる」という難解なアルバムである。
「でもSolid airがあるよね?」と思った人はライブ版やDANCE VERSIONの聞き過ぎである。アルバム版はこの曲も暗いしローテンポである。
思ったのは「ライブ版はとにかく激しい」って事である。Solid Airもそうだが「のこりギリギリ」も激しくアレンジされている。
因みにこのアルバムの収録曲は意外と解凍期や改訂期でアレンジされる確率が高い。特にSolid Airはソロを含めて6種類もある上、ライブではマイナーチェンジもしている。
結構、思い入れがあるアルバムなのかもしれない。
曲調
曲調は暗い。さらに使われている音のせいで何故か不安になる。
唯一の癒やしは「ここら辺からパワーを打ち出してきた田井中貞利のドラム」だろう。
このアルバムの田井中さんのドラムは不安を打開する要素になっている。
ドラムがパワー系の田井中さんだから良いが「落ち着いた音のドラマー」だったら「P-MODEL史上怖いアルバム」になっていた。
そしてアルバムのもう一つの特徴は「凄い残響がかかっている」ことだろう。ドラムが顕著だが、他の楽器やボーカルも意外と残響が凄い。
どうやって撮っているかというとドラムは別々に録音している上、リバーブエフェクトを使わず「階段などで録音した」らしい。
今ではコンボリューションリバーブエフェクト*1もあるが1982年にそんなものは無い。
なので「このアルバムの残響」は「このアルバムが録音された場所」でしか再現できない。なのでライブでは激しくなったのかもしれない。
よく聞くとベースもシンセサイザーな曲がある。「HEAVEN」は分かりやすいが実は「Solid Air」もシンセベースである。
さらに当時のライブやPVを見てみると「HEAVENのシンセベースは手弾き」である。シーケンサーではない。
ただ当時のライブのSolid AirはDANCE VERSIONアレンジなので生ベースである。
歌詞
歌詞は適当に辞書にあった単語を組み合わせた感じで支離滅裂で意味が分からない。
今回のアルバムの歌詞は「世界観をより明確にするためのもの」というより「リズムを楽しむだけの楽器」という感じである
P-MODELや平沢ソロのイメージである「訳が分からない歌詞」はこのアルバムからである。
ただ「うわばみ」だけはモチーフがモチーフなので「星の王子様」からインスピレーションを得た歌詞だと分かりやすい。
総評
Potpourriでも「ついていけた人」がこれを聞いたら困惑するだろう。「何だこの意味不明なアルバムは!?」って。
しかしこのアルバムは「今のP-MODELのイメージを作ったアルバム」でもある。これが元祖だと思う。
アレンジ回数も多いので平沢氏にとっては「相当思い入れがあるアルバム」だと思う。
この感じは次回作までしか続かない。けどこの作品からP-MODELは変わった。
曲別レビュー
- HEAVEN
- 列車
- Zombi
- Coelacance
- うわばみ
- Perspective
- Solid Air
- のこりギリギリ
- Perspective II