アルバム
タイトル:P-MODEL
アーティスト:P-MODEL
曲数:11+1(隠しトラック)
備考:ゴールデン☆ベスト版を購入
一言感想
解凍したら王道テクノになった 歌詞は技術系
感想
P-MODEL8枚目のアルバム。
P-MODEL凍結から3年後、解凍宣言をして活動再開する。その時に日比谷野外大音楽堂でライブを行い披露された曲は既存曲ではあったが全てがテクノアレンジされた曲である。
その様子はTVで放映されたが全て知っているはずの曲がテクノアレンジによって全く違う解釈の曲になった。
観客も驚いただろう。なぜなら12年ぶりとなるテクノへの回帰だからだ。
実は1980年以降はP-MODELはテクノから離れていた。ONE PATTERNでもテクノという感じがするが公にはロックではある。
そして、その時のメンバーは凍結前の最後のキーボードでありソロでもサポートをしていたことぶき光、11年ぶりにP-MODELに戻った秋山勝彦、そしてザ・グルーヴァーズのドラムである藤井ヤスチカである。
色々と個性のあるメンバーだからこのアルバムが出来たのが分かる。
そしてこの頃はライブも結構異端なので後述する。
曲調
とにかくテクノという感じである。テクノポップな初期の2作品とは違い、シンセサイザーを大々的に使っている。
ギターの音もギターソロを除けば全くと言っていいほど聞こえない。この頃からギターはギターソロ以外はギターが目立たない。
ドラマーはいるがドラムもドラムマシンの音源をシンセドラムのトリガーで出しているという感じなので実質、人間味のあるドラムマシンみたいなものだ。
というよりレコーディングではドラムマシンを使っていると思う。藤井さんはライブ時にパターンが困難かを確認する役割かドラムの練習だけであろう。
ベースもシンセベースである。今までロックでやってきたバンドがここまでテクノに割り切るのは凄い。
歌詞
歌詞は「コンピュータ技術賛美」という感じである。コンピュータ用語やIT用語が頻繁に出る。
特に「3Dモデリング系の用語」が結構出る。
ヒエラルキー、フラクタル、モーションパス、エッジ、XYZ。これ実は3Dモデリングの用語である。
一時期Blenderをいじっていた事があったが、こういう用語が結構出たので平沢さんはモデリングに挑戦したのかな?と思った。
だから2D or not 2Dのように3Dが沢山使われているPVが出来たのも事実であるが。
平沢さんの3Dはネタにされることがあるが結構上手い。流石はデザイナー科卒の人間である。
ライブ
この頃から改訂期と同じ「両端キーボード」になる。そして、ことぶきさんは「砦」というキーボードを縦置きにして弾くというパフォーマンス重視な配置で演奏する。
秋山さんはキーボード兼ダンサーでありノリノリに演奏したりマラカスを振っている。まるでP-MODELの森岡賢のような感じである。
一番驚くのは「ライブのテンポはドラマー次第」という事であろう。もちろん生ドラムバンドと一緒だがシーケンサーを使うバンドなのでシーケンサーの速度も変えないといけない。
藤井さんのバスドラムに合わせてシーケンサーのテンポも自動的に変わるそうだ。因みに発明したのはことぶきさんだ。
しかしライブ音源を聞いてもテンポに一寸の狂いもない。ことぶきさんの技術力の凄さにも驚くが藤井さんのテンポキープの能力も凄い。
唯一わかるのはNO ROOMのライブだけである。ライブ音源を聞いているとこれだけはアルバムよりハイテンポに演奏している。
しかし、シーケンサーの速度も最初から速い。まぁこれだけだと「最初から速めに設定したんだな」と思うが問題は一旦曲が終わってから追加でサビをやるときだ。
物凄い高速で演奏するがシーケンサーも速さに追従している。これがことぶきさんが開発したシステムである。
そして衣装である。今までのP-MODELはスーツ系の衣装が多かったのを「テクノなラバースーツ」に変えた。
ラバースーツのお陰で近未来人という感じになった。しかも全員の個性に合わせて衣装がそれぞれ異なる。
この「かっこいい衣装」も人気の一つである。
総評
前作までのロック的な要素が無くなり完全なテクノになったアルバム。
しかもライブも音楽も衣装も個性が沢山ある。
解凍期にファンが多いのも頷ける。
しかし解凍期は3年しかないというのも事実である。今作含め2つアルバムを発表して終わる。
ただ手応えはあったのか改訂期になっても解凍期の曲は意外と演奏している。
次回作は解凍期最後のアルバムである。今度は近年になってライブで演奏している曲が多い。