egon's everything review

万物はレビュー可能である by egon

アルバムレビュー8 ONE PATTERN

アルバム

  タイトル:KARKADOR

アーティスト:P-MODEL

    曲数:10

一言感想

凍結前最後のアルバム。今回は技術のアルバム

感想

P-MODELの7作目のアルバム。このアルバムからベースが横川理彦から中野照夫(現・中野テルヲ)になりキーボードも三浦俊一から高橋芳一に変わる。

どちらもP-MODELのローディーであり高橋氏に至ってはキーボードの経験は全くって言っていいほどない。

なのでキーボードではなく「Systems」というパートである*1

因みにSystemというパートは改訂期になるまで出てこない。8年後に再登場するパートである。

そしてこの時期は技巧派というより技術である。このアルバムからシンセサイザーを多用する曲が多くなり平沢自身もMIDIギターという「MIDIシンセサイザーサンプラーを制御できるギター」を使っている。

さらに殆どの曲のドラムが打ち込みである。よく聞いてみるとドラムの音色、特にスネアが同じ音である。

因みにこの時期から平沢氏といえばでお馴染みのamigaというパソコンを導入する。最初はAnother DayのPVが気に入らないため買ったためビジュアル主体に使うが段々と楽曲制作にも使い始める。

曲調

曲調は明るいが、どこか寂しい曲が多い。特にZebraやAstro Notes、ハーモニウムはそう感じる。

このアルバムが最後という感じが何故か漂う。

そしてIN A MODEL ROOMと同じくシンセサイザーを多用しているが技術の進化やバンドの変化により、ただ「明るい電気の音を出す機械」から「複雑な音を出す機械」に変わった。

実はこのアルバムそんなにギターの音が聞こえない。ここまでシンセサイザー主体なのは珍しいが解凍期の伏線なのかもしれない。

このアルバムでは、中野氏がボーカルを取っている曲が2曲ある。P-MODELでは平沢以外がボーカルの曲は珍しくないが、大体1アルバム1人1曲である。

1アルバムで2曲なのは珍しい。因みに没アルバムに収録予定だった「CRUEL SEA」も中野ボーカルなので、

アルバム収録しているしていないの違いはあるが秋山勝彦氏と同じく3曲ボーカルを取っている*2

歌詞

歌詞は相変わらずだが今回は世界観や行動をイメージしやすいものと、そうではないものが紛れている。

前者は「OH MAMA!」と「Another Day」が当てはまり後者は「LICORICE LEAF」や「Drums」が当てはまる。

因みにこのアルバムでは3曲も中野作詞作曲がある。後者に当てはまるのは大体、中野作詞である。

Perspective期のような言葉遊びのような歌詞が好きなのだろうか?

ライブ

結構技術を駆使しているアルバムだが、ライブでも技術をかなり駆使している。

ただチープなところもあり、OH MAMA!の「海の深み~」部分はカセットテープを手動で再生している*3

MIDIギターをライブでも使っており「サンプラー」をMIDIギターに繋いで色々と演奏している上ギターも普通にアンプに繋げて出力できるのか普通のギターの音も鳴らしている。

ただの「ライブが凄いバンド」だと思ったら「技術も駆使している物凄いバンド」である。

総評

このアルバムはテクノロジーの進歩によってできたアルバムと言われても過言ではない。

シンセサイザーサンプラーMIDIギター。この3つがないとこのアルバムは作れない。

この時期は色々と技術を模索しているが、この体制も1年で終わり87年にドラムが田井中貞利に戻り、キーボードが、ことぶき光に変わる。

田井中貞利の時はシーケンサーを使わずに生演奏をしていたようだ。

そして88年に凍結(活動休止)する。

次回作としてアルバム「モンスター」を出す予定はあったが、お蔵入りとなった。

平沢、中野、田井中、ことぶき体制はライブ主体のバンドではあったが、この時期も意外と技巧派なので三界の人体地図やYouTubeでライブ音源は転がっているので一度聞いてほしい。

曲別レビュー

*1:最初のライブのメンバー紹介やテレビ番組ではキーボードと紹介している

*2:JORNEY THROUGH YOUR BODYのライブ版を含めると4曲なので秋山氏が1位

*3:バトルロイヤルパーティの音源が分かりやすい