アルバム
タイトル:Sim City
アーティスト:平沢進
曲数:11
一言感想
これぞ多国籍ミュージック そして価値観を変えたタイ
感想
平沢進の5枚目のアルバム。
元々はピンク・フロイドの「狂気」の平沢版を作ろうとしていたが旅行したタイの影響で東南アジアをフューチャーしたアルバムとなっている。
これは今もイメージとして根強い「平沢進といえばタイ」のアルバムになっている(徐々に薄れていって現象の花の秘密以降は無くなったが)。
一番は「彼の価値観が物凄い変わった」っていうことであろう。
このアルバム以降、仏教的価値観の曲が増えている。
そして変化といえばSP-2(トランスジェンダーの女性)との出会いだろう。このアルバムのインタラクティブ・ライブから東京異次弦空洞までSP-2やタイ人のゲストを呼んでいた。
それ以降、彼は人間とは?愛とは?と言う事を問う曲が多い。色々な人間に触れたからだろうか?
曲調
異色作だったAURORAとは違い、これはいつも通りの平沢サウンドである。
攻撃的なギター、電子音の多用、歌いづらい高音。
特に今回のアルバムは電子音を色々な場面で多用している。
ただ今までと違うのはアジアンな音色や雰囲気が多い。
メフテルやタイの曲をサンプリングしていたりタイ語の朗読を使っている。
そしてオーケストラや日本語の歌詞もあって多国籍な歌に感じる。
このアルバムからギターはTalboからPhotonに変わっている。
PhotonというのはFERNANDESに作らせた偽Talbo木製ギターである。
初お披露目は1994年(平沢三幕三時間)でありオリジナルはカスタム仕様のTalboやEVOが出ても2013年(ノモノスとイミューム)まで使った後、光子に改造されるなど意外と気に入っているギターである。
TalboとPhotonの見た目の違いは意外とあるが、音の違いは分かりづらい。
聞き分け方はハッキリとした音なのがTalbo,潰れたような音なのがPhotonである。
やっぱりアルミ製と木製という材質の違いは埋められなかった。
ただ素人だと分かりづらいレベルには精巧に作られている。
歌詞
今回は言ってる事は分かりづらいが前向きになれたり「自分は自分のままでいい」と肯定させるような歌詞が多い。
特に感じたのは「普通の人に合わせるな」みたいな雰囲気の歌詞が多い。
これはやっぱりSP-2に会ったからであろう。今のタイは東南アジアにしては寛容な国みたいなイメージがあるが、この頃は多少なりとも偏見はあったはずだ。
SP-2はそんな中で生きている。それを目の当たりにして平沢さんはこういう歌詞を書いているのであろう。
さらに言ってる事もポジティブな事が多いため前向きになれる。
ライブ
今回も勿論「インタラクティブ・ライブ」である。今作からストーリーが練られてタイも話に出てくる。
そして、このライブから平沢さんといえばの楽器が出てくる。
YAMAHAから発売されていた楽器Miburiである。体を動かして音を鳴らす楽器である。
色々な用途で使い末期にはVRゴーグルを付けて音を鳴らしながらビジュアルコントロールもするという事をしていた。
しかし使用期間はSim City(1995年)からLive Solar ray(2001年)の6年間だけであった。
実は着るセンサーは消耗品であり、それが販売終了したのが2001年なのである。
たった6年という短い期間だがインパクトは全員に残った。
救済の技法に次ぐ人気があるのか今のライブでも歌っている曲は多い。
さらにアレンジも多い。
総評
タイ旅行で衝撃を受けた平沢さんが作った価値観が変わったことを曲にして伝えている。
まるでインドに行って価値観が変わった人みたいな感じである。
一つ思ってしまったのは現在の平沢さんは閉じてしまったように思ってしまう。
現象の花の秘密以降は昔馴染みのゲストや会人しか呼ばなくなってしまった。
新規のゲストも、たまに日本人のゲストを呼ぶ程度である。
今残ってるタイ要素はPHONONシリーズの年号くらいである。
今の曲も好きだが昔のように異国のゲストを呼んで欲しいっていうのはある。
開くんじゃないか?という出来事として僕が注目しているのは中国ライブである。
記事を書いている時(4月12日)は、まだライブをしていないが中国のフェスに出演する。
そこで意外とチャイナショックが起きて平沢さんが開くんじゃないか?とは思っている。
次回はP-MODELが改訂する。今度は昔馴染みの友達と友達の友達、ソロのサポートメンバーという4人である。