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映画レビュー20 陽はまた昇る

映画

 映画名:陽はまた昇る

ジャンル:ものづくり

備  考:Prime Videoで視聴

一言感想

VHS VS ベータマックス ビクターのジャイアントキリング

感想

2002年に公開された映画。

日本ビクターが開発したVHSとソニーが開発したベータマックスの規格争いの話(いわゆるビデオ戦争)である。

今回は日本ビクター側の話でありVHSを開発から普及するまでの話である。

そこに立ちはだかるのは先にベータマックスを開発したソニーである。

ネタバレどころか当然の話であるが結果はVHSの圧勝である。

ビデオテープといえばVHSの時代がくる。

これはそれまでの話である。

VTR

そもそも、この話のキーワードであるVTRとは何だ?って人のために説明するとビデオテープレコーダーを省略して言った言葉である。

よくテレビで後撮り映像をVTRと言っているのは、これの名残である。

最近ではデジタル媒体なのにVTRはおかしいぞ?ってなったテレビマンがいるのか不明であるがビデオの略であるVとだけしか言わないテレビも多い。

実はVHSが開発される以前は規格がバラバラだった。なので統一させる必要がある。

そこで立ち上がったのはU規格を採用していたソニーとビクターである。

U規格とは何だ?って人のために言うとUマチックをベースにした規格である。

しかし巨大な上、業務用にしか浸透しなかった。家庭用にはまだ普及していない。

それを変えようとしたのがベータマックスとVHSである。

ベータマックス

ベータマックスは小さくて画質がいい。

ただ、標準だと録画時間は少ない。1時間なのでタイタニックどころか秒速5センチメートルですら撮れない。なのでテープ速度1/2モードが搭載されているβIIが標準になる。

とは言っても2時間なのでサウンド・オブ・ミュージック2001年宇宙の旅は1本で撮れない。

さらに製造コストも高い。

VHS

一方のVHSは製造コストが安いし撮れる時間も標準で2時間である。

秒速5センチメートルや陽はまた昇る程度の映画なら撮れる。

そして後に3倍モード搭載機種が発売され6時間以上録画できる。

こうなるとタイタニックなど2時間以上の映画も撮れる。

そこも利点である。

日本ビクター

V系好きから見たらSOFT BALLET(初期はアルファだが)やcali≠gariがいたレコード会社ってイメージがあるが家電会社でもある。そこはライバルのソニーと一緒である。

VHSを作った会社でありVHSを覇権にした会社でもある。

簡単に言えばビデオテープの基礎を作ったが、その後は大変な事になる。

絵の出るレコードという売り込みでVHDを作ったがパイオニアが開発したLD*1に惨敗する。確かにLDよりは小さいが耐久性がかなり低かったらしい。さらに音声メディアではソニーとフィリップスが小さく耐久性もあるCDを作る。

八方塞がりの日本ビクターはさらに特許の満期などで窮地に陥ってしまう。

そして現在ケンウッドと合併してJVCケンウッドになった。

車用品とオーディオ機器の会社になってしまった。

松下電器

現在は社名変更をしてパナソニックになっている。

日本ビクターの親会社であり今回のビデオ戦争の立役者である。

社長の松下幸之助氏に直訴したみたいになっているが実際には逆でありビクターの工場に松下氏が視察しに来た。そしてベータマックスとVHSの比較の発言をする。

なので映画とは違う。

ソニー

ご存知の通りPlayStationシリーズや錦鯉にハリウッドザコシショウなどが所属している芸能事務所、レコード会社など多岐に渡る企業である。

正直に言えば規格争いでの唯一の敗北で他は全勝である。

VHSに負けたベータであるがソニーはデジタル方面では諦めてはいなかった。

これから数年後と数十年後にソニーは家庭用光ディスクで覇権を取る。CDBlu-ray Discである。ベータマックスのリベンジを果たした。

面白いのは会社というのは敵になったり味方になったりする。

Blu-rayやCDの原型はソニーとフィリップスが開発した。

ゲーマーなら分かるだろう。スーパーファミコンの周辺機器で敵対関係になっていた企業である。

任天堂が絡まないと味方になる。任天堂ソニーが組むこともある。現に映画のゼルダの伝説ソニー・ピクチャーズ配給でありSMAのアーティストがアニメ版ポケットモンスターの主題歌を歌っていた。

そしてソニーとビクターも例外ではない。レコード会社や規格ではライバルであるがPlayStationにはビクターインタラクティブソフトウエアが売っているソフトもある。

トゥームレイダー(1,2)、牧場物語(ハーベストムーン、ハートに火をつけて)などがビクターのソフトである。

これはCDはソニーが開発した規格だから出来たこと&ビクターの子会社だからであろう。

因みに本作に出てくる会社で唯一、社名変更をしていない。他がJVCケンウッドパナソニックになる中、ソニーソニーである。

俳優

本作の主人公、加賀谷静男を演じたのは西田敏行さんである。

釣りバカ日誌ではサボる万年平社員を演じていたが今回演じたのは真逆の有能な部長である。

コメディからシリアスまで演じれる万能役者である。

次長の大久保修を演じたのは渡辺謙さんである。

アクション系の映画に出ていることが多い俳優なのでこういう映画に出るのは珍しい。役柄もワイルド系ではなく終始腰が低い。

髪の色、メガネ、髭の有無だけで全く違う人に見える。

同じく髪の色で全く違く見える俳優がいる。通産省の電子機器課長を演じたのは國村隼さんである。

最近ではトリリオンゲームやひとりでしにたいなどに出ている。今回は黒龍社長みたいな役でありホクロの位置で分かるが髪の色と髪型で全く違う俳優に見える。

その中でも今でも分かりやすい俳優がいる。服部一義を演じた田山涼成さんである。

今の丸坊主頭とは違い髪の毛が生えているが顔だけで田山さんだと分かる。

総評

ベータマックスとVHSの規格争いの話であった。

人情ものであり仲間と共に戦うものでもある。

西田敏行さんとこの頃は知名度もあまりない渡辺謙さんの演技もいい。

特に若者は露骨に敬語を使う渡辺さんを見て驚くだろう。

その後の調子に乗ったビクターとBlu-rayでリベンジを果たしたソニーという結末を見ても驚いてしまう。

*1:俺ら東京さ行くだでお馴染みのレーザーディスクのこと 同じように映像が出るレコード