ボカロ曲
タイトル:深海シティアンダーグラウンド
アーティスト:田中B
一言感想
実はボカロっぽい要素はかなり少ない
感想
田中Bさんの15作目。独特なダウナーな雰囲気と意味が分からない歌詞が特徴。
この曲ほど「意味不明な歌詞だが全編通して歌いやすい曲」は珍しい。
人間が再現できないような高音と低音の繰り返しどころか途中の高音加工パートとアウトロのシャウトを除くと歌に音程が少なく、ボカロとしてイメージする早口パートもない。
なので歌いやすい部類に入るボカロ曲である。
そして音もギター、ベース、オルガン、ドラムというシンプルな編成である。「パートが増えるのでバンドでは工夫しないとカバーできない曲」とかでもない。
ここまで「ボカロっぽくないボカロ曲」は珍しい。なので好きなのかもしれない。
曲調
曲調は暗く重い。なのにギターは元気に暴れており、ロックな感じを醸し出している。
オルガンがハモンドオルガンという昔のオルガンの音なので60年代的な雰囲気になっている。
ただ使っている音源かリミックスのせいなのかドラムの音がどうもショボく感じる。
鏡音リンの声だが、炉心融解のように普通は「かなり高音を歌っている」曲が多い(キーが低い曲は鏡音レンが歌っている曲の方が多い)が、これは低い。
女性じゃなくても声の高い男性なら普通に原曲キーで歌えそうだ。
歌詞
歌詞はP-MODEL並に難解な歌詞である。
想像するに世界観は「スラムに近い薄汚い下町」というイメージである。
そしてその街を散策しながら何かを嘆いているが、バレると大変なことになるので隠語を多様しているような歌詞である。
と平沢さんが書きそうな歌詞も多い。
そしてサビ前の「カウント歌詞」がリズムを良くしている。
カウント歌詞とは?
Da-iCEの「スターマイン」や平沢進の「庭師KING」のように数字が入っており、歌詞の中の数字が徐々にカウントアップもしくはカウントダウンしている歌詞である。
この曲ではここである。
真夜中の4時にみつけた 四ツ葉のクローバー焼きついた
三ツ足のカラス 屋根の上で不気味に見つめる
双子はいつまでも石油で体を清めて ほのかに香る
有機モノソミー ひとりきり
これを入れることで数えているみたいで聞いても歌っても心地よい。
総評
暗い世界観、意外とロックだが暗い曲調、意味が不明な歌詞。
ここだけみると「当時のボカロ」っぽい印象だが、実際は
鏡音リンの曲にしては低いキー淡々とした歌い方、早口パート一切なし
というボカロっぽくない要素も多い。
なので、この曲はアングラ系が好きなボカロ初心者に受けるかもしれない。
特にガロという漫画が好きな人にオススメである。