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曲レビュー7 サンシャイン・シティー

アルバム

  タイトル:サンシャイン・シティー

アーティスト:P-MODEL

収録アルバム:IN A MODEL ROOM

一言感想

初期ならではのホールトーンの曲 ライブでは大きく違う点がある

感想

IN A MODEL ROOMの7曲目。

今回は「池袋という都会の紹介」の感じである。

KAMEARI POPは「下町=温かいというのは嘘」がテーマなのに対してこの曲は「近代社会批判」という感じだ。

因みにサンシャインシティは、このアルバム発売の1年前に開業している。

この曲ライブでは全く違う点が一つある。それは後で紹介しよう。

曲調

曲調は初期P-MODELらしいロックである。実はこの曲はシンセサイザーがベースだけでキーボードは殆どオルガンである。

この曲もギター終始バッキングであるためギターが目立たない。

というよりP-MODELは「美術館で会った人だろ」のせいで初期はテクノポップっぽい曲だけだと感じる人が多いが実際は「ロックに近い」曲も普通に演奏している。

これはテレビ番組で「テクノポップバンド」として紹介されていることが多いのと美術館人気が強いからだと思う。

美術館レベルのテクノポップは数曲くらいである。あとはニューウェーブやロック寄りである。

そしてこの曲はイントロで分かりやすいがホールトーンスケールである。

初期P-MODELでは多用されているが、ここまでホールトーンだと分かりやすい曲は全く無い。

歌詞

この曲以上に「1979年当時の社会」を批判しているのは珍しい。

P-MODELの風刺曲は大体は「どの時代にも当てはまる事」を歌っているが、これは明らかに昭和の社会批判である。

1,4番は長時間労働、2番は無個性になっていく街や人、3番は受験戦争と昭和の社会の問題点を炙り出している。

勿論、令和にも当てはまる事ではあると思うが今はマスコミなどが問題視する。しかし、この時代は「ネットはないしマスコミは報道しない」時代である。

何故なら弱肉強食の社会だったからだ。「長時間労働や受験戦争で負ける弱いやつは淘汰される」それが昭和である。

なので今の時代と昭和の時代で受け取り方が全く違う曲の感じがする。

ライブ

ライブでは大きく違う点がある。それは「ベース」である。

アルバム版では「シンセベース」である。しかしライブでは「エレクトリック・ベース」である。

実はP-MODELでは「シンセベースだった場合はシンセサイザーを使う」事がよくある。

現にTVで放映されたミサイルやBTI MAPのHEAVENのライブではベーシストの秋山さんや菊池さんがシンセサイザーを弾いている。

ただ、この曲だけはベースがエレクトリック・ベースである。何故か変わっている。

そして、冒頭に「サンシャイン・シティー」って叫びながら始まるのも違う点である。

総評

7曲目は1979年当時の社会批判である。

P-MODELの通説として「どれも時代に当てはまらないので色褪せない」というのがあるが、これは時代に当てはまる。

そして、この曲の作詞は平沢さんの兄、平沢裕一さんである。つまりP-MODEL以外のメンバーの作詞である。

裕一さんの歌詞として未来の出来事ではなく今を見ているという特徴がある。

「子供たちどうも」も「サンシャイン・シティー」も「これから起こる未来」ではなく「現時点で起きてること」を歌詞にしている。

なので、それなりの時代を感じてしまう。

ただ、これは裕一さんが下手な訳ではなく未来の出来事を予想しているP-MODELメンバーが凄いだけである。

というよりほぼ素人に近いのに作詞が出来る人が下手な訳はない。