アニメ
アニメ:ぼっち・ざ・ろっく!
ジャンル:青春、バンド
話 数:12話
備 考:Prime Videoで視聴
一言感想
「ギターの上手い子が演奏と奇行をするチート系アニメ」? いやいや「シンプルな青春で成長が根底にあるアニメ」
感想
2年前に相当な話題になったアニメ。僕は最初は「ギターが上手くて変な事をする子がいるアニメ」で「毎話で変な事をする」みたいな感じで聞いていたので「いわゆるチート系バンドアニメなのかな?」って思っていた。
しかし、その期待はいい意味で裏切られた。主人公の後藤ひとりはソロでは上手いが極度の人見知りなのでバンドになると皆に合わせられない、つまり協調性がないので全くの下手になってしまう。
ギターが上手いひとりが挫折するという大体「1話から主人公の隠された才能に気付く」系の展開が多いアニメでは珍しい展開なので1話でかなり引き込まれた。
そして「バンドで有名になってチヤホヤされたい」という目的に立ちはだかるチケットノルマやオーディションという立ちはだかる現実の壁をどうやって乗り越えるのかというのもある。
色々な経験やトラブル、ライブでひとりは成長していく。このアニメは意外と成長というのがテーマにあると思う。
バンドメンバーである伊地知虹夏、山田リョウ、喜多郁代も最初はバラバラで協調性も仲もそんなに無かったが話数が進んでいく事に4人で江の島旅行をしたり先輩バンドのライブに言ったり楽器を買ったりと4人で行動するシーンが多くなる。
中でも喜多はギターが全く弾けない初心者から最終話になるとアドリブがちょっと出来るようになる。
これは後藤ひとりの成長だけではなく結束バンド全員の成長を描いたアニメなのである。
そして「青春」要素も意外と多い。このアニメは通う学校がバラバラな上、舞台も教室ではなくライブハウスが殆どなので青春要素はないと思いがちである。
しかし忘れてはいけない。「友情」こそ一番の青春なのである。最初は友達なんていなかった「ネットだけが友達」状態のひとりが徐々に周囲の人達と仲良くなる話である。
バンドメンバー以外にも大人とも関わるので1シーズン通してひとりには友達が沢山できた。自ずとネットから遠ざかった。そして12話では1話とは比べ物にならないほど性格も比較的明るくなった。
声優
「結束バンドの声優はこのアニメで有名になった」と言われているが実際は
- Wake Up, Girls!でデビューしたが中々芽が出なかった青山吉能
- 荒野のコトブキ飛行隊で主役をやっていたが大体は脇役の鈴代紗弓
- 後宮の烏で主役経験はあるが作品自体が少ない新人の水野朔
- 一之瀬アスナ役やミホノブルボン役で話題になっている長谷川育美
と「このアニメで人気が出た」のは事実だが代表作はそれぞれあるので元々有名な人もいる。
特に青山さんはWake Up, Girls!以降は代表作が全く無かったのがアニメ一クセが強いキャラである「後藤ひとり」を圧巻の演技で演じた。
それで演技の上手さが評価されたのかポケットモンスターのアニメやちいかわ、オーバーロードと色々な作品に出演するようになった。
長谷川さんはソシャゲにはよく出てた一方アニメの方には全くと言っていいほど出てないが、この作品きっかけなのか色々なアニメに出演するようになった。
何故か水野さんだけは出演作品がかなり増えるということがなかった。新人なのが原因なのかもしれない。
因みにブルーアーカイブでもウマ娘でも言われているのが「水野朔が声優のキャラが増えれば結束バンドが作れる」という、いわゆる中の人ネタである。
どっちの作品にも3人が演じているキャラは揃っているから言われている話である。
成長
前述の通り、このアニメの主なテーマは成長である。
もし最初にひとりが下手扱いされずにバンド経験がないのにギターが上手い逸材だったらこのアニメは全くと言っていいほど人気が出ないだろう。
最初に「ギターが上手い後藤ひとりの挫折」が描かれる事によってこの後の話が成長という目線で見れる。
実はバンドで演奏するシーンは1話、5話、8話、12話の計4話しかない。これによって結束バンドが上手くなっていく様子が徐々に分かっていく。
つまり、このアニメでのバンドの演奏は「成長のマイルストーン」なのである。
もう一人、成長を実感させる人がいる。「喜多郁代」である。
喜多は全くギターが弾けなかった。むしろひとりに教えてもらって、ようやく演奏できるくらいであったが最終話ではアドリブが上手くなった。
もし喜多がギターが全く弾けない事がバレて虹夏が「ボーカリストとして行こう」というアニメになったら人気が出ないだろう。
青春
このアニメには悩んでる主人公を導く先生枠として「廣井きくり」がいる。酔っ払いの変人ではあるが、かなり的確なアドバイスをしてくれる。
いわゆる「迷っている主人公の相談に乗ってくれる先生や親枠」である。
このアニメは「青春なんていらない!」って感じのスタンスに見えるが実際は真逆で青春を満喫している。
そんなスタンスなら夏休みに江の島に行ったりしないし、学祭にバンド出演なんてしない尖ったアニメになってるはずだ。
ただ「青春には色々な形がある」というスタンスはある。純粋に恋や学校行事、部活だけが青春だけではない。
何度も言うが、このアニメでの青春は友情である。このアニメは喜多とひとり、虹夏とリョウで全く学校が違う。
つまり4人が顔を合わせるのはバンドハウスだけである。そして軽音楽部で組んでいるバンドでもない。
特殊な青春ではあるが、かなり青春をしている。
奇行
これだけだと青春と成長の普通の熱血アニメになってしまう。それを中和するかのように面白シーンが追加されている。
面白シーンのおかげで内容がギャグアニメっぽい。実写を使ったり3DCGを使ったり主役が別の何かに変わるなど挑戦的なアニメである。
ただ真剣なシーンでふざけたり、変な事を言ったりはしない。そこはきちんとメリハリがある。
そのメリハリのおかげで、このアニメのギャグシーンが残るのであろう。
総評
令和になってから物凄い話題になったアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」だがこれは人気になる理由も分かる。
そして下北沢も音楽の街として有名になった。それが影響したのかわからないが「ある拠点となる地域があるバンドアニメ」が増えたような気がする。
ちゃんと学びもあるし、ギャグシーンもきちんとある。
さらに笑いもあれば感動もあるというアニメとしては完璧である。
ドラえもんの次にきちんと見たアニメがぼっち・ざ・ろっく!で良かったかもしれない。