アルバム
タイトル:DOCUMENT
アーティスト:SOFT BALLET
曲数:10
一言感想
実は大半が藤井作曲 だから世界観が統一している
感想
SOFT BALLET2枚目のアルバム。
前作よりもSOFT BALLETの世界観である「ダークな世界観」を突き詰めている。
そしてボーカルも結構低くなっている。さらにシンセサイザーの使い方も結構洗礼されている。
特に「軽かったシンセベース」が大分重くなっている。これは大半が藤井さんの作曲というのもあると思うが。
曲調
前述の通り殆どの曲の作曲が藤井麻輝である。
前作は森岡賢の作曲が多かったので前作が「森岡賢の才能を見せるターン」なら今作は「藤井麻輝の才能を見せるターン」である。
なので殆どが「ダンサブルでインダストリアルな曲」である。
一番異端なのは「ESCAPE」である。これはドラムの音で分かるが「藤井作曲」である。これは藤井さんによる「インダストリアル以外も作れる」というメッセージなのか?
森岡賢も負けてはいない。今作は「アンビエント」に繋がるような落ち着いた曲を作っている。前作がノリノリな曲なら今作はチルウェイヴ系が多い。
ダンサブルな藤井曲を大量に浴びた後に落ち着いた森岡曲を入れることでサウナの「ととのう」と同じ効果を出している
今作はゲストが増えている。前作はゲストがギターとパーカッションだけだったのがベースやコーラスも増えている。
そしてギターも3人の違う人が弾いている。インダストリアル・テクノバンドなのにギターにこだわっている面白いバンドである。
ベースもシンセベース曲と生ベース曲がある。生ベースではあるが、きちんとバンドの曲調に合わせてシンセベース風に弾いている。
歌詞
前作は歌詞は「自分や人、風景のような見えるもの」を書いていたが今作は「愛や絆、感情のような目には見えないもの」を書いている。
特に感情に対して書いている歌詞が多い。喜怒哀楽をそのまま歌詞にしているような曲が多い。
そして英語の歌詞が増えている。殆どが英語で歌っているような曲も多い。真面目に電気グルーヴの「M.O.C.」(日本人アーティストの英語歌詞を皮肉った曲)はこのアルバムを聞いてひらめいたのかという位に。
このバンドを聞いていつも思うのが「一番苦労しているのは遠藤遼一なのではないか」ということである。
もう一度いうがボーカルの遠藤遼一が作詞である。ただ歌詞を書くだけでなく歌詞だけでアルバムの世界観を統一させる役目も持っている。
今回は難しく「曲調が相反する曲」の世界観の統一である。今回は個性を結構出したので方やアンビエント系、方やインダストリアル系という個性がある。
それを上手く統一させるのが上手い。
テレビとライブ
この頃になると頻繁にSOFT BALLETはNHKやキー局のテレビに出始める。
EARTH BORNの頃もTVには出ていたが地方局であった。POP JAMを皮切りに深夜番組に多数出演する。
POP JAMは電気グルーヴのFLASH PAPA回でも言ったが「NHKなのに、とにかく個性的なアーティストを紹介する番組」である。
特にSOFT BALLETは解散まで追っており再結成後も呼ぶくらいである。
森岡さんの個性的な衣装、近寄りがたい雰囲気を出している藤井さん、唯一話が通じそうな遠藤さんというSOFT BALLETのどこをNHKが気に入ったのかは不明である。
ゲストとして3人も迎えていたギターだがライブでは1人しか呼んでいない。そしてライブではドラムも生ドラムである。
因みに前作のアルバムのツアーのサポートと一緒だが次のアルバムのツアーから変わる。かなりの有名人なので紹介は伏せる。
総評
前作が「森岡賢の個性を見せるアルバム」ならこれは「藤井麻輝の個性を見せるアルバム」である。
今回はインダストリアル色が強い。しかしアンビエント系の曲もあるので世界観を統一させる歌詞を書いた遠藤さんには驚きである。
前作と続いて個性を見せるアルバムであったが次回作は曲を半々で作っている。そして物凄い「悲しみと怒りを感じるアルバム」である。
Virtual Rabbitのレビューでチョロっと言ってはいたが「ある事」が起きるのでそれに影響される。
ただ平沢進のVirtual Rabbitが「静かな抗議」ならSOFT BALLETの次回作は「激しい抗議」である。
曲別レビュー
- NO PLEASURE
- MIDARA (PORTE DÉVERGONDÉE)
- PRIVATE PRIDE
- JARO '68
- BELIEVE IN A BLUE WORLD
- ESCAPE
- TWIST OF LOVE -Acoustic Version-
- FAITH IS A
- COMA BABY
- AFTER IMAGES