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アルバムレビュー18 愛と平和

アルバム

  タイトル:愛と平和

アーティスト:SOFT BALLET

    曲数:11+2(リミックス)

一言感想

2人の個性爆発 そして戦争への怒り

感想

SOFT BALLET3枚目のアルバム。

前作、前々作は1人の個性を見せるアルバムだったが今作は2人の個性を見せるアルバムである。

今回は戦争がコンセプトにあるのか、かなり攻撃的であり鎮魂歌のような曲も多い。

まるで激しい反戦運動のようだ。

それもそのはず今作は湾岸戦争の最中に作られたアルバムである。

なので湾岸戦争の作戦名がタイトルになっている曲や明らかに風刺した曲もある。

曲調

今作はバランス良く作曲している。

そしてシンセサイザーだけでなくピアノやアコースティックギターのようなアコースティック楽器がふんだんに使われている。

そして2人ともどのアルバムよりも攻撃的である。怒りが伝わってくる。

ただ今作は戦争という共通のコンセプトがあるからなのか他のアルバムと違って「2人の違い」というのが分かりづらい。

違いを言うならば俯瞰で見て戦争を茶化しているのが森岡さん、感情むき出しで怒っているのが藤井さんである。

森岡さんの曲は何故か戦争をテーマにしているのに明るい。まるで「戦争って馬鹿げた事をしてる人間」を嘲笑うかのように。

一方で藤井さんの曲は戦争なんて無益な殺傷を辞めろと心の中から叫んでいるような暗い曲が多い。

これはライブでの道化師みたいな森岡さん、いつキレるのか分からない藤井さんのイメージにぴったりである。

歌詞

歌詞は「戦争そのもの」よりも「亡くなった者への悲しみ」、「戦争を企てた権力者への怒り」、「無関心な人々へのメッセージ」が多い。

直接的に戦争がテーマな歌詞は少ない。

そして今作は「風刺」にも挑戦している。AMERICAという曲だが内容はSMみたいな歌詞である。

これは「アメリカと日本の関係」をSMで例えている。つまり「女王様に従うしかない奴隷」って事である。

かなりメッセージ性が強い曲である。

ゲスト

ライブゲストのギターとドラムが変わる。

ギターは石塚BERA伯広さんである。元筋肉少女帯のギターであり色々なバンドの経験がある。

そしてドラムは上領亘さんである。元GRASS VALLEYのドラムだった人である。

この人は様々なバンドでドラムをやっている人である。後に平沢ソロのゲストやP-MODELのドラムとして参加するテクノバンド向けのドラマーである。

中性的でキレイな顔もあるがドラムも物凄く上手いので人気がある。特にリズムキープや複雑なドラムパターンを普通に叩ける。

彼の特徴といえばドラムは各バンドに合わせてドラムパターンを変えている。SOFT BALLET平沢共演版と平沢ソロ版のときのスケルトンコースト公園のドラムを聞いてほしい。

SOFT BALLET平沢共演版はダンサブルなドラムで、平沢ソロ版はのんびりとしたドラムである。こうやって各バンドの色に合わせられるからミュージシャン側からも人気があるのかもしれない。

因みに、この頃のライブの上領亘さんは衣装もあって田井中貞利さんそっくりである。「もし解凍期に田井中貞利がいたら」みたいな衣装である。

アルバム限定のゲストとして成田忍さんもいる。この人は4-D mode 1というバンドのギターでアーバン・ダンスや布袋寅泰のライブのゲストとして出ている。

4-D mode 1のメンバーの中でも色々な場所で活躍している人である。

総評

今作は「戦争への怒りと悲しみ」が込められたメッセージ性が強いアルバムである。

そして今作から本格的な「SOFT BALLET」のアルバムである。今までは森岡賢とその他のアルバム(EARTH BORN)と藤井麻輝とその他のアルバム(DOCUMENT)だった。

これがアルファ時代最後のアルバムである。次回作からはビクターに移籍する。

ビクター時代は2人の個性がより一層際立つ。まるで別のアルバムなのかって言うくらいには。

曲別レビュー

  • SAND LÖWE (BEAT MIX)
  • VIRTUAL WAR
  • EGO DANCE (EXTENDED VERSION)
  • OBSESSION
  • LAST FLOWER
  • AMERICA
  • FINAL
  • OPTIMAL PERSONA
  • TANGO IN EDEN
  • TEXTURE
  • SAND LÖWE